シースの材質に関する文献

・道路橋示方書・同解説 Ⅲコンクリート編 平成24年3月 ---- 日本道路協会

20.4.4 シース

  1. シースは、コンクリートの打ち込みの際に変形しにくく、その合せ目や継目からセメントペーストが流入しないものでなければならない。
  2. シースは、施工上及び耐久性上有害な腐食、よごれ、きず、変形等があってはならない。
  3. シースに用いる材料は所定の強度、変形能、耐久性を有していなければならない。
  1. シースは,コンクリートの打込みの際にシースがつぶれたり変形したりすると,PC 鋼材の緊張やグラウトの注入に支障をきたすことがある。したがってシースは.断面 方向にはつぶれにくい節付きのものや波付きのものを用いることが望ましい。なお,外 ケーブル...<略>
  2. シースに有害な品質変化等が生じると施工に支障をきたしたり,耐久性を損ねる可 能性があるため.運搬時はもちろんのこと,受入れ時,施工時に十分注意する必要がある。
  3. シースには,一般に薄い鋼製のシースが用いられる。塩害の影響を受ける地域等において,高い耐久性を確保する場合には,シースそのものの腐食防止と塩化物イオン等 の侵入防止や腐食電流の絶縁によるシース内のPC鋼材の腐食防止とを目的に,ポリエチレン等のプラスティック製シースが用いられることも多い。

2012年制定 コンクリート標準示方書 [設計編] 8編 プレストレストコンクリート ----  土木学会

5章 耐久性に関する照査

(4) PC鋼材に対しては、プラスチック製シースあるいは被覆PC鋼材を用いる等の防錆対策を講じるのがよい。 腐食性環境においてPRC構造を用いる場合には、PC鋼材に対し防錆対策を講じることを原則とする。

PC鋼材に対しては、環境条件等に係らず、腐食促進物質の遮へい効果を有するプラスチック製シースや被覆 PC鋼材(土木学会規準JSCE-E141 (案)参照)を用いる等の防錆対策を講じるのがよい。また、腐食性環境 においてはPC構造を適用するのが望ましいが、PRC構造を用いる場合には、PC鋼材に対し上記の防錆対策 を講じることを原則とした。

 一方、プラスチック製シースを用いる場合には、PC鋼材の腐食抵抗性を総合的に向上させるために、 シー スと同等の遮へい効果を有するグラウトキャップ等を用いて定着具を腐食から保護することを原則とする。同じ内径を有する鋼製シースとプラスチック製シースを比較した場合、 一般に外径はプラスチック製シース の方が大きいことから、部材厚さが大きくなる傾向にあることに注意する必要がある。

2012年制定 コンクリート標準示方書 [施工編] ----  土木学会

10.2.2.3 シース

(3) シースの材質は耐久性を考慮して定めることを標準とする。

 一般に、シースには鋼製、あるいはプラスティック製のものが使用される。PC鋼材を腐食から 保護する上で、シースに塩化物イオンや水,空気等を遮断する性能を持たせることはきわめて効果的である。また、 設計で塩害対策等を考慮しない場合であっても、安全策のーつとしてシースにこのような機能を期待することは、 耐久性の確実さを高める上で有効な対策の一つと考えられる。したがって、シースの材質は耐久性を考慮して定めることを標準とした。

 プラスティック製シースは、腐食することがなく、2010年に土木学会規準が制定される等、品質に対する信頼 性も向上しているこのことからシースの材質はプラスティック製のものが推奨される。プラスティック製シース の材質としては、ポリエチレンとポリプロピレンがあるポリエチレンには、高密度・中密度・低密度の3種類が あるポリエチレンシースを用いる場合は、強度,すりへり抵抗性等の性能を満足する硬質の高密度ポリエチレン シースの使用が望ましい。

2007年制定 コンクリート標準示方書 [施工編] ----  土木学会

この条文は2012年制定版で変更されています。

12.4.3 シース

(3) 塩害対策等、特に耐久性が要求される場合には、プラスティック製シースを用いることを原則とする。

 害対策等、特に耐久性が要求される場合には、通常のシースの要求性能に加えて、塩化物イオン,水,空気等に対する遮断性を高めておくことがPC鋼材を腐食から保護する上できわめて重要であるので、 それらの効果が確認されているプラスティック製シースを用いることを原則とした。

設計要領 第二集 橋梁建設編 8章 コンクリート橋 平成24年7月 ----  NEXCO

2-2-4 シース

シースは、緊張材の保護及び防錆材の充填管としての役割を果たすものでなければならない。また、内ケーブル構造では非金属製シースを標準とし、コンクリート部材とシースとの一体化が図れるものでなければならない。

 シースは、以下の事項に考慮し、品質及び耐久性に関して確認された適切な寸法のものを選定しなければならない。

  1. PCグラウト等防錆材の注入が確実に行えること。
  2. 緊張時の摩擦抵抗を増大させないこと。
  3. 適切な空隙率を有するものを選定すること。
  4. 充填材と反応しないもの。
  5. 充填材注入の最高圧力に対して十分な強度を有すること。
  6. 腐食その他の劣化に対して耐久性を有すること。
  7. 運搬や施工中の外力に対して有害な変形や傷が生じることなく十分な施工性を有すること。
  8. シースの合せ目、継目からのセメントペーストがシース内に漏れない構造であること。

 内ケーブル構造においては非金属製シースを標準とし、部材コンクリートとの一体化が図れるように適度な凹凸を有するものでなければならない。

PCグラウトの設計施工指針 改定版 平成24年12月 ---- 公益社団法人 プレストレストコンクリート工学会

2.5.1 シース

(2) シースは、プラスチック製シースを使用するのがよい。

 長時間共用し続けるPC橋の場合には、塩害対策等を特に必要としない一般環境においても、PC鋼材に対してかぶりコンクリートのみに防錆性能を期待するのではなく、腐食しないシースで覆い、その中をPCグラウトでアルカリ環境に保持することは、 より高い耐久性を確保できるものと考えられる。以上の観点から、一般環境においても、シースはプラスチック製シースの使用を推奨するものとした。

「土木工事設計要領」第Ⅲ編 道路編 平成25年1月 第二章 橋梁設計  ----  九州地方整備局

5-1-3 PC鋼材・シース

 PC鋼材は、原則として道路橋示方書Ⅰ3.1(H14.3)(表-解3.1.3、表-解3.1.6)に掲載されている材料を使用する。  また、シースについてはスパイラルシース(鋼製)を標準としているが、海兵部および山間部で凍結防止剤を散布するような塩害対策が必要な箇所についてはポリエチレンシース等を使用してもよいものとする。

「設計便覧」第3編 道路編 第6章 橋梁上部工 ----  四国地方整備局

2-3 シース

 シースはスパイラルシース(鋼製)を標準とするが、海兵部および凍結防止剤を散布するような塩害対策が必要な箇所についてはポリエチレンシースの採用を検討すること。

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