落橋防止システム

 落橋防止システムは、設計で想定されない地震動が作用したり、周辺地盤の破壊や構造部材の予測しない複雑な振動によって、 想定を超える変位、変形が橋に生じて落橋するという不測の事態を防止するために設けられるものであり、 落橋防止システムは、けたかかり長、落橋防止構造、変位制限構造および段差防止構造で構成されている。

 「緊急輸送道路の橋梁耐震補強3箇年プログラム」耐震補強マニュアル(案)では、けたかかり長の確保、落橋防止構造の設置、変位制限構造の設置、段差防止構造の設置 の対策工のうち、落橋防止構造の設置を優先することを基本としている。

 また、「新幹線、高速道路をまたぐ橋梁の耐震補強3箇年プログラム」耐震補強マニュアル(案)では、落橋箇所に新幹線が衝突した場合、多数の乗客が影響を受ける可能性があるという被害の寛大さを鑑み、 新幹線をまたぐ橋梁に対しては、 構造形式、適用示方書にかかわらず落橋防止構造を設置することとしている。

けたかかり長の確保

 上部構造が下部構造の頂部から逸脱して落下するのを防止するために、必要なけたかかり長を確保する。

落橋防止構造

 上下部構造に大きな相対変位が生じて、これがけたかかり長を超えないようにするために、上下部構造間の相対変位を拘束する工法。

落橋防止構造は、次の構造を標準とする。

  1. 上・下部構造を連結する構造
  2. 上・下部構造に突起を設ける構造
  3. 2連の上部構造を相互に連結する構造

変位制限構造の設置

 変位制限構造は、支承と補完し合って、レベル2地震動により生じる水平力に対して抵抗することを目的として設置するもので、 支承が損傷した場合に上下部構造間の相対変位が大きくならないようにする役割を担う。また、斜橋・曲線橋等においては、橋軸直角方向への変位により上部構造が落橋に至るのを防止 するために、橋軸直角方向に対する相対変位を拘束する。

 変位制限装置は、落橋防止構造と類似した構造となる場合が多いが、これらの機能は異なるため原則として兼用できない。但し、両者の機能を独立して 確保できる構造を採用する場合には兼用することも可能である。

段差防止構造の設置

 段差防止構造は、支承高の高い支承が破損した場合に、路面に車両の通行が困難となる段差を防止するために設置される。

東北地方整備局 設計施工マニュアル[橋梁マニュアル]岐阜県橋梁設計要領では、「高さ40cm程度以上の鋼製支承を用いる場合に段差防止構造を設置する」とある。

出典:道路震災対策便覧(震前対策編)平成18年度改訂
   「緊急輸送道路の橋梁耐震補強3箇年プログラム」耐震補強マニュアル(案)
   「新幹線、高速道路をまたぐ橋梁の耐震補強3箇年プログラム」耐震補強マニュアル(案)
   東北地方整備局 設計施工マニュアル[橋梁マニュアル]
   岐阜県橋梁設計要領

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